地球温暖化により、豪雨、洪水、極端な高温などの自然災害が増え、農作物の収穫に影響が出たり、住まいや生活基盤が失われるなど、もはや、誰もが気候変動に無関心ではいられない時代が来ています。
そんな時代を象徴するかのように、地球温暖化の予測モデルに関する研究を行った真鍋淑郎さんが異例のノーベル物理学賞を受賞され、大きな話題を呼びました。
世界を見渡せば、カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現を目指した取り組みが加速しており、日本でもこれまでにない挑戦が始まっています。
今回は、これらカーボンニュートラルを巡る一連の動きをご紹介します。
世界が沸いた、異例のノーベル物理学賞
2021年秋、気象学者の真鍋淑郎さんが、ノーベル物理学賞を受賞されたことが大きな話題となりました。これまで、気候変動分野の研究に対してノーベル物理学賞が贈られたことはなく、今回の受賞は異例の出来事でした。
なぜ、真鍋さんの業績が世に広く認められたのでしょうか? それは、真鍋さんが「大気中の二酸化炭素(CO2)が増えると、地表の温度が上がる」ということを世界で初めて数字で示し、今に続く、地球温暖化予測の礎を築いたからです。
今、地球は危機的状況に
地球温暖化により、豪雨、洪水、極端な高温などの自然災害が年々増加しており、農作物や生態系への影響に留まらず、日本だけでなく世界中で人々の暮らしに大きな打撃を与えています。
地球温暖化は、大気中に排出される、CO2をはじめとした温室効果ガスの増加が主な要因とされ、その原因を、国連の機関である気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と指摘しています。
温室効果ガスのうち特に量が多いのがCO2ですが、日本では1人あたり約9~10トン※ものCO2が排出されていると言われています。
※日本全体のCO2排出量を日本の人口で割ることによって算出(出典:環境省及び国立環境研究所)
世界が本気で挑む、カーボンニュートラル
地球温暖化を食い止めるため、近年、世界中で叫ばれているのが「カーボンニュートラル」です。
カーボンニュートラルとは、「温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする」、つまり、温室効果ガスを「排出する量」から「植林や森林管理などを通じて吸収する量」や「地中に埋めることなどにより除去する量」を差し引いてプラスマイナスゼロにすることを意味しています。
また、地球温暖化対策が経済成長の制約やコストになると考える時代は終わり、新しいサービスやビジネスを生み出す取組を後押しすることで新たな成長の機会と捉える時代になりつつあるということも、カーボンニュートラルの考え方が浸透する背景となっています。
こうした潮流を踏まえ、実にこれまでに150ヶ国以上が「期限を定めたカーボンニュートラル」を表明(2021年11月時点)しており、世界中で脱炭素社会の実現に向けた挑戦が始まっています。
日本における脱炭素化の動き。成功のカギはイノベーションの創出。
日本においても、2020年に当時の菅首相が「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。 この宣言を達成するためには、予算、税、金融、規制改革・標準化、国際連携などの政策を総動員することにより、カーボンニュートラル実現を後押しする様々な革新的技術の研究開発と社会実装を進めることが不可欠となります。
このため、国は2兆円※(2021年3月時点)の「グリーンイノベーション基金事業」を立ち上げ、水素や再生可能エネルギー(洋上風力、太陽電池)、自動車などの様々な分野でこれまでにない革新的な技術を生み出す企業を最長10年間にわたって後押しし、成果を社会にいち早く届けていくことを目指して、開発を加速しています。
そして最終的には世界のグリーン産業をけん引し、経済と環境の好循環を創り出すことによって、
2050年のカーボンニュートラル実現を確実なものにしていく方針です。
※令和4年度第2次補正予算により3000億円が積み増しされており、さらに令和5年度当初予算により4564億円が積み増しされます(2023年7月時点)。
カーボンニュートラル実現に向けて、私たちができること
カーボンニュートラル実現に向けて、国、企業などが本腰を入れて動き出しています。
しかし、どれほど脱炭素を意識した新しい製品やサービスが生まれても、私たち国民が利用しなければビジネスとして成り立たず、社会にも浸透していきません。その結果、カーボンニュートラルの実現も遠のいてしまいます。
では、私たちがカーボンニュートラル実現に向けてできることは何でしょうか?
まずは、今から少しずつ一人ひとりのライフスタイルを見直すことで貢献することができるかもしれません。
例えば、次のように商品やサービスの購入をする時に、脱炭素に向けた取組が行われているのかといった視点を取り入れて、日々の暮らしを見つめ直すこともアイディアの一つです。
- LED照明など省エネ家電を導入する
- より簡易な包装の商品、環境配慮のマークが付いた商品を購入する
・・・など
そして将来、画期的な製品やサービスが実現した時には、それらを積極的に選択することによって、脱炭素に果敢に挑戦する企業を応援していくことも有効です。
あなたのほんのちょっとした気持ちの切り替えや行動が、社会の仕組みを大きく変え、カーボンニュートラルへと近づけていくのです。
本サイトでは、今後も皆さんのお役に立てる情報を発信していきます。
一緒に脱炭素ムーブメントを起こしていきましょう!