CO2を用いたコンクリート等製造技術開発

CO2を用いたコンクリート等製造技術開発

プロジェクト概要

カーボンリサイクルは、CO₂を資源として有効活用する技術でカーボンニュートラル社会を実現するためのキーテクノロジーであり、CO₂分離回収分野や、一部の化学品分野をはじめとして日本に競争力があります。

特にコンクリート、セメント、炭酸塩等(以下、「コンクリート・セメント分野」)への CO₂の利用については、CO₂固定化ポテンシャルが高いこと、生成物が安定していることなどから、早期の社会実装による大規模な CO₂削減が期待され、日本をはじめ米国や欧州において研究開発・実証が本格化しています。

しかしながら、同分野において脱炭素化を実現するためには、世界各地で利用されているコンクリートのCO₂排出削減・固定量を増大させるとともに、コスト削減等によりその利用を促していく必要があります。また、コンクリートの材料であるセメントについても、その原料である石灰石の脱炭酸反応で CO₂が排出されるという課題があります。

本プロジェクトは、同分野におけるカーボンリサイクル技術の社会実装に向け、上述した技術的課題の解決を図るとともに、国内・国外への普及を戦略的に進めることで、同分野における脱炭素化の実現やカーボンニュートラル社会実現に貢献することを目指します。

プロジェクトの特徴

〇CO₂排出削減・固定量最大化コンクリートの開発

2030 年までに材料製造~運搬~施工に係るCO₂排出量の削減及びCO₂固定量の増大を図るとともに、コスト低減を実現するCO₂排出削減・固定量最大化コンクリートの製造システムの確立し、既存製品と同等以下のコストを目指します。

〇CO₂排出削減・固定量最大化コンクリートの品質管理・固定量評価手法に関する技術開発

2030年までにCO₂排出削減・固定量最大化コンクリートの品質管理手法を確立するとともに国際標準化を実現します。

〇セメント製造プロセスにおけるCO₂回収技術の設計・実証

2030年までに石灰石由来のCO₂を全量近く回収し、既存のCO₂回収手法(化学吸収法;アミン法)と同等以上のコスト低減を実現するCO₂回収型セメント製造プロセスの確立を目指します。

〇多様なカルシウム源を用いた炭酸塩化技術の確立

2030年までに、回収したCO₂や廃棄物から効率的かつ経済的に炭酸塩を製造し、セメント原料等で利用する技術や、品質確保のためのガイドラインの策定を目指します。

プロジェクトサマリー

■予算額

上限567.8億円

■CO2の削減効果(世界)

2030年
6〜14億トン/年
2050年
30億トン/年

■経済波及効果(世界市場)

2030年
3,800億円
2050年
156兆円

■研究開発目標(~2030年)

① コンクリート分野
1.材料製造~運搬~施工において以下を実現
・CO2排出量の削減:310~350kg/m3(うちCO2固定量は120~200kg/m3
・既存製品と同等以下のコスト
2.CO2排出削減・固定量最大化コンクリートの品質管理手法の確立と国際標準化の実現
② セメント分野
3.以下の水準を満たすCO₂回収型セメント製造プロセスを確立
・プレヒーター内で発生するCO2を80%以上回収
・現在標準的に行われている化学吸収法(アミン法)より低コスト化
4.回収した CO2から炭酸塩を製造し、炭酸塩をセメント原料等に利用するための以下の水準を満たす技術を確立
・廃棄物から10%以上の酸化カルシウムを抽出し、炭酸塩1トンあたりに固定化するCO2固定量が400kg以上
・回収したCO2から製造した炭酸塩の生成コストが、従来の石灰石の市価の5倍程度
・炭酸塩の利用の拡大のため、利用技術のガイドラインを策定

【CO2削減効果の前提条件】

  • CO2削減効果はコンクリート・セメントを併せて計上
  • CARBON DIOXIDE UTILIZATION(CO2U) ICEF ROADMAP 1.0 の「Potential increase in market size due to implementation of strategic actions」の図に記載の2030年のConcrete のグラフの数値から試算
  • IEA ー Technology Roadmap - Low-Carbon Transition in the Cement Industry の「Figure 4: Cement production by region」の2050年の数値をもとにCO2排出削減・固定量最大化コンクリートの普及率 4%、CO2回収可能なセメント製造プロセスが十分に導入されるとして試算

【経済波及効果の前提条件】

  • IEA-Technology Roadmap - Low-Carbon Transition in the Cement Industry の「Figure 4: Cement production by region」の2030年の数値をもとに CO2排出削減・固定量最大化コンクリートの普及率 0.1%として試算
  • 国内のセメント工場(30工場、51キルン)の約1割のキルン(5キルン)に当該技術を導入
  • キルン1基当たりの設備導入費用を 200億円程度と想定
  • 国内混合セメント想定の 10%相当分シェアの確保を想定
  • IEA ー Technology Roadmap - Low-Carbon Transition in the Cement Industryの「Figure 4: Cement production by region」の2050年の数値をもとにCO2排出削減・固定量最大化コンクリートの普及率4%として試算
  • 2050年時点で世界のセメントを当該研究開発によるCO2混合セメントに置き換え、また2050年セメント生産(約50億トンと推計)に必要なセメント製造設備を当該設備に置き換えると想定

出所)研究開発・社会実装計画

プロジェクト実施者

○コンクリート分野
【研究開発項目 1】 CO2排出削減・固定量最大化コンクリートの開発
【研究開発項目 2】 CO2排出削減・固定量最大化コンクリートの品質管理・固定量評価手法に関する技術開発

テーマ事業者
革新的カーボンネガティブコンクリートの材料・施工技術及び品質評価技術の開発
CO2を高度利用した CARBON POOL コンクリートの開発と舗装および構造物への実装
コンクリートにおける CO2固定量評価の標準化に関する研究開発

最新の事業戦略ビジョンをまとめてダウンロード

○セメント分野
【研究開発項目 3】製造プロセスにおける CO2回収技術の設計・実証
【研究開発項目 4】多様なカルシウム源を用いた炭酸塩化技術の確立

テーマ事業者
CO2回収型セメント製造プロセスの開発

最新の事業戦略ビジョンをまとめてダウンロード

※事業戦略ビジョン:本プロジェクトに参画する企業等の経営者がコミットメントを示すため、事業戦略や事業計画、研究開発計画、イノベーション推進体制などの詳細を明らかにした資料。なお、大学や公的研究機関等については原則公表の対象ではないが、単独実施の研究機関等についてはこの限りではない。

CO2を用いたコンクリート等製造技術開発2022年11月時点)

プロジェクトサマリー

  • プロジェクト全体が、概ね計画通り進捗している。

【研究開発項目1サマリー】

「CO2排出削減・固定量最大化コンクリートの開発」では、試験・調査の実施により必要な基礎データを取得するなど、使用材料の選定や固定・製造システム技術に関する研究開発を実施した。

【研究開発項目2サマリー】

「CO2排出削減・固定量最大化コンクリートの品質管理・固定量評価手法に関する技術開発」では、2022年7月にコンクリート分野における評価技術および標準化検討委員会の開催等を通じて連携を開始した。

【研究開発項目3サマリー】

「製造プロセスにおけるCO2回収技術の設計・実証」では、新型仮焼炉のラボ試験機の設計・製作等を完了した。また、仮焼炉の運転条件の確立のための調査等を行った。

【研究開発項目4サマリー】

「多様なカルシウム源を用いた炭酸塩化技術の確立」では、実験機の稼働に向けた開発に取り組むとともに、人工石灰石のセメント原料への利用に必要となる基礎物性の確認等を進めた。

スケジュール

1. NEDO報告資料

経済産業省産業構造審議会グリーンイノベーションプロジェクト部会ワーキンググループにおけるNEDO報告はこちら。

2022年11月最新
2022年度 NEDO報告資料

2. 各事業者報告資料(事業戦略ビジョン)

各事業者の進捗状況はこちら。
実施体制・事業戦略ビジョン