次世代航空機の開発

次世代航空機の開発

プロジェクト概要

航空需要は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界的に大打撃を受けたものの、2024年には2019年と同水準まで回復し、その後、新興国等の経済成長を背景に、約3%/年程度の持続的な成長を遂げることが見込まれており、航空機産業は成長を続ける産業といえます。

一方、2022年10月のICAO(国際民間航空機関)総会において、「2050年までのカーボンニュートラル」が国際航空分野の長期目標として採択される等、急速に脱炭素化の要求が高まりつつあり、欧米OEMメーカーを中心に、機体・エンジンの軽量化・効率化に係る技術開発、電動航空機に係る開発が実施されています。

さらに、エアバス社が2035年に水素を活用した「カーボンニュートラル航空機」を市場投入すると発表したことを受けて、水素航空機の開発競争も激化しています。

そこで、本プロジェクトでは、機体・エンジンの国際共同開発参画比率(現状約2〜3割)の向上、及び航空分野の脱炭素化への貢献を目指し、水素航空機(水素燃焼、水素燃料電池)のコア技術・システム開発、航空機主要構造部品の複雑形状・飛躍的軽量化開発、電動化率向上技術開発に取り組みます。

プロジェクトの特徴

〇水素航空機向けコア技術の開発

将来予想されるNOx規制値を考慮し、従来エンジンと同等以下のNOx排出量を実現する水素エンジン燃焼器及び周辺機器、貯蔵水素燃料の2倍以下の重量となる液化水素燃料貯蔵タンクを開発します。また、風洞試験等により2,000~3,000kmの航続性能を有する水素航空機の機体構造を検討します。

〇航空機主要構造部品の複雑形状・飛躍的軽量化の開発

〇航空機主要構造部品の複雑形状・飛躍的軽量化の開発

2035年以降に投入される特に中小型航空機の主翼等の重要構造部材につき、①既存の部材(金属合金)から約30%の軽量化(既存の複合材部材と比較すると約10%の軽量化)、②更なる燃費向上に向けた複雑形状・一体成型に対応するための強度向上(設計許容歪を1.1倍~1.2倍)を両立します。

〇液体水素燃料を用いた燃料電池電動推進システムとコア技術開発

液体水素を用いた4MW 級の燃料電池電動推進システムを開発します。各コンポーネントについては、他分野を含め優れた技術・ノウハウを可能な限り活用し、加えて、当該技術に関連する国際標準化活動への参加、および認証取得に向けた安全性を示すためのロジック・方針の検討も技術開発と並行して進めます。
また、航空機向けに耐熱性、耐久性といった性能を飛躍的に改善する水素燃料電池材料などのコア技術の開発も行います。

〇電力制御、熱・エアマネジメントシステム技術開発

航空機の今後の電動化の中核を支える電力制御及び熱・エアマネジメントシステムについて、ハイブリッド電動推進システムに対応可能な1MW 以上の出力を有する発電機や、世界最大級の出力をもつ航空機向けガス軸受モータを搭載した電動ターボ機械といったコア技術の開発を進めるとともに、統合したシステムを確立します。