
プロジェクト概要
自動車の利用段階のCO2排出量削減に向けた包括的な取組として、交通渋滞や、その原因となる事故の防止へとつながる自動運転の社会実装が期待されています。
しかしながら、自動運転に必要な車載コンピューティングには膨大な電力を必要とすることから、電動車の航続時間・距離に影響を与え、現行技術では、反対に電動車普及の制約要因となる可能性があります。
そこで、本事業では、徹底した車載コンピューティングの省エネ化(現行技術比70%減)のため、特に消費電力に影響する自動運転ソフトウェア・センサーシステムの省エネ化の研究開発を実施します。
同時に、自動車の電動化・自動化の中で開発体制の転換が求められるサプライチェーン全体の競争力強化のため、自動化にも対応した電動車全体の標準的シミュレーション・モデルの開発を行います。
プロジェクトの特徴
〇自動運転のオープン型基盤ソフトウェアの開発
ネットワーク・クラウド側への負荷を低減するアーキテクチャを前提に、必要な性能(主要な走行環境でのレベル4自動運転)を担保しつつ、ハードウェアに対するソフトウェアの計算負荷を低減(70%削減に寄与)するための研究開発を実施します。
〇高性能かつ低消費電力を実現する自動運転センサーシステムの開発
自動運転の「認識系」の情報処理について、認識手法の改善(効率的処理)や、それと連携したセンサー機器の性能向上(入力値改善)を通じて、必要な性能(主要な走行環境でのレベル4自動運転)を満たしながら、徹底した省エネ化(70%削減に寄与)を行うための研究開発を実施します。
〇電動車両シミュレーション基盤の構築
自動運転の試験・評価に必須の電動車両シミュレーション・モデルを、車両全体で実際の挙動と90%以上の精度で一致する水準で開発し、広く活用可能な標準モデルとすることで、性能検証に要する期間をサプライチェーン全体で半減し、電動車開発期間の短縮に貢献します。
プロジェクトサマリー
■予算額
上限420億円
■CO2の削減効果(ポテンシャル推計)
- 2030年
- 約169万トン/年(日本)
- 2050年
- 約1,320万トン/年(日本)
約3.4億トン/年(世界)
■経済波及効果(世界市場規模推計)
- 2030年
- 約43兆円/年
- 2040年
- 約148兆円/年
■研究開発目標
- 研究開発に取り組む範囲の中で、ネットワーク・クラウドへの負荷も加味しながら、現行技術比で、70%以上の車載コンピューティングの消費電力削減に寄与
- 主要な走行環境における、レベル4自動運転機能(安全性・信頼性等を含む)の担保
- 研究開発に取り組む範囲の中で、ネットワーク・クラウドへの負荷も加味しながら、現行技術比で、70%以上の車載コンピューティングの消費電力削減に寄与
- 主要な走行環境における、レベル4自動運転機能(安全性・信頼性等を含む)の知覚・認識面からの担保

- 国内自動車メーカー・部品メーカーが共通的に利用可能な形式で、SOTIFに対応し、レベル4自動運転を実現するために必要なデジタル・ツインでの電動車両全体のシミュレーション・モデルを、動力学シミュレーション精度90%以上として、実機を用いた性能検証期間の半減を実現できるレベルで構築するための手法の確立
【CO2削減効果の考え方】
- 日本と世界の保有台数、日本7,440万台、世界190,000万台で計算。
- 2030年については、「平常走行時における高度なエコドライブ(高速道路で稼働)」による改善効果をもとに算定。
- 2050年については、「平常走行時における高度なエコドライブ(高速道路と一般道で稼働)」による改善効果に加えて、「サグ部・トンネルにおける渋滞の解消」や「事故に起因する渋滞の解消」による改善効果をもとに算定。
【経済波及効果の考え方】
- 民間統計(富士キメラ総研「2019自動運転・AIカー市場の将来展望」)を参考に、2030年時点の自動運転車市場を40兆円、加えて関連部品産業市場を3兆円と推計。
- 民間統計(富士キメラ総研「2019自動運転・AIカー市場の将来展望」)を参考に、2040年時点の自動運転車市場を143兆円、加えて関連部品産業市場を5 兆円と推計。
出所)研究開発・社会実装計画
プロジェクト実施者
【研究開発項目 1】自動運転のオープン型基盤ソフトウェア
テーマ | 事業者 |
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Microautonomy~集合的にスケーラブルな自動運転システム の創出~ |
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【研究開発項目 2】自動運転センサーシステム
テーマ | 事業者 |
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電動車等省エネ化のための車載認識技術の開発 |
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【研究開発項目 3】電動車両シミュレーション基盤
テーマ | 事業者 |
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電動・自動運転車開発を加速するデジタル技術基盤の構築 |
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※事業戦略ビジョン:本プロジェクトに参画する企業等の経営者がコミットメントを示すため、事業戦略や事業計画、研究開発計画、イノベーション推進体制などの詳細を明らかにした資料。