スマートモビリティ社会の構築

スマートモビリティ社会の構築

プロジェクト概要

自動車の利用段階におけるCO2排出量は、国内外ともにCO2排出量全体の16%を占めており、わが国では、その内の約40%が商用利用目的の車両由来のものとなります。温暖化対策に向けて世界的に自動車の電動化の動きが進む中、商用車は稼働率が高く、エネルギー消費量が多いため、乗用車と比較して電動化が遅れています。

電気自動車(以下、EV)の商用利用には、充電電力の増加、充電タイミングの重複等により必要となる電力系統補強(社会コストの増大)や、EVの運用に伴う運輸事業コスト増大(契約電力量見直しや関連設備の導入・保守 等)の懸念があります。そのため、運行管理と一体的に、特に商用車による電力需要に着目して、エネルギーマネジメントを行う必要があります。また、燃料電池自動車(以下、FCV)においても、整備コストの高い水素ステーションを最適に配置・運用する必要があります。

そこで本プロジェクトでは、商用電動車(EV・FCV)の普及拡大に資する社会システム全体としてのコストの最適化を図るため、車両・走行データやエネルギー消費、インフラ活用、地図などの外部データをもとに、シミュレーション技術を活用し、インフラの最適配置やエネルギー利用の最適化に関する研究開発・実証を実施します。またそのために必要となるデータの収集と、事業者における商用電動車の活用拡大に向けた運行管理と一体的なエネルギーマネジメントの実現に向け、複数の事業者において大規模な商用電動車の利用実証を伴う研究開発を行います。

プロジェクトの特徴

[1]商用電動車本格普及時における社会全体最適を目指したシミュレーションシステム構築に関する研究開発

商用電動車の本格普及を見据え、エネルギーシステムへの負荷軽減や充電・水素充てんインフラの最適配置を図り、実データをもとにエネルギー利用量・CO2排出量を最適化する望ましい運行管理と一体的なエネルギーマネジメントのシミュレーションモデルを構築・検証するとともに、そのモデルが運輸事業者へ提供可能となるよう検討を行います。

[2]商用電動車の大規模導入を実現するために必要となる運輸事業者における運行管理と一体的なエネルギーマネジメント等に関する研究開発

運輸事業者において、一定のエリアで商用電動車を運用し、運行面や車両、エネルギー利用に関するデータを取得するとともに、外部データや既存でまだ普及していない技術等の活用も視野に入れ、運行管理と一体的にエネルギーマネジメントを行うシステムを構築・検証します。

さらに、本プロジェクトにおいては、[1]と[2]の事業者が連携して相互にデータ提供やシステムの有用性検証等に取り組みます。

プロジェクトサマリー

■予算額

上限1,130億円

■CO2の削減効果

2040年
0.9億トン/年
2050年
2.6億トン/年

■経済波及効果

2040年
2.6兆円/年
2050年
7.1兆円/年

■研究開発目標

1. 商用利用される電気自動車・燃料電池自動車の本格普及時における社会全体最適を目指したシミュレーションシステム構築
  • 最低3以上の運輸ケースにおいて、以下のシステムを構築し、実用性を検証する。
  • 商用利用される電気自動車・燃料電池自動車の本格普及を見据え、社会全体でエネルギー利用、GHG排出量を最適化するために、望ましい運行管理と一体的なエネルギーマネジメントに関するモデルを運輸事業者に対し提示するシステム
  • 充電・充填インフラの最適配置に関するシミュレーションシステム
2. 商用利用される電気自動車・燃料電池自動車の大規模導入を実現するために必要となる運輸事業者における運行管理と一体的なエネルギーマネジメント等に関する研究開発
  • 一定のエリア (3から5の事業所、中程度の県、幹線道路等、商用車の利用形態に応じて適切なエリア)において、電気自動車又は燃料電池自動車を運用し、運行・車両・エネルギー利用に関するデータを取得するとともに、当該データや外部データ等を活用し、電気自動車又は燃料電池自動車について、運行管理と一体的にエネルギーマネジメントを行うシステムを構築する。
  • 運輸事業の円滑な遂行と電気自動車・燃料電池自動車の導入を両立するために、既存で普及していない技術(交換式バッテリーや無線給電技術等)を活用することが必要であり、かつ、技術課題があると考えられる場合には、合わせて、その技術を確立する。

【CO2削減効果の考え方】

  • IEA が示した2℃未満シナリオ(B2DS)に基づくペースで、商用車の電動化が普及すると仮定。
  • 2040年、2050年いずれにおいても全世界の電動車の内、日本車の概ねのシェアである10%が、本プロジェクトの成果を活用したEV、PHEV、FCEVであると仮定し、これらすべてが内燃機関車からの代替とした場合のCO2削減効果を試算。

【経済波及効果の考え方】

  • IEAが示した2℃未満シナリオ(B2DS)によるEV、PHEVの普及台数に基づき、 その内グローバルでの日本の商用車のシェア約10%について本事業成果が搭載された車両と仮定し、 2040年、2050年の販売台数を上述の普及率を考慮して推計。
  • 車両については、現在の車両価格並みとし、minibus17百万円、bus24百万円、MFT(Medium Freight Truck)4百万円、HFT(Heavy Freight Truck)19百万円と仮定。

出所)研究開発・社会実装計画

プロジェクト実施者

【研究開発項目】スマートモビリティ社会の構築に向けたEV・FCVの運行管理と一体的なエネルギーマネジメントシステムの構築

研究開発内容(1)商用利用されるEV・FCVの本格普及時における社会全体最適を目指したシミュレーションシステム構築に関する研究開発

テーマ事業者
電気自動車・燃料電池車の導入に向けたエネルギーマネジメントと車両運行管理を最適化するシミュレーションシステムの構築
  • 幹事国立研究開発法人産業技術総合研究所
    公開対象外※
  • 独立行政法人自動車技術総合機構交通安全環境研究所
    公開対象外※
  • 一般財団法人電力中央研究所
    公開対象外※
  • ダイナミックマッププラットフォーム株式会社

研究開発内容(2)商用利用されるEV・FCVの大規模導入を実現するために必要となる運輸事業者における運行管理と一体的なエネルギーマネジメント等に関する研究開発

テーマ事業者
運行管理システム及びエネルギーマネジメントシステム構築・研究開発実証を通じた集配車両EV化等によるカーボンニュートラルの実現
グリーンデリバリーの実現に向けたEVの導入・運用に係る開発・実証
商用電動車普及に向けたエネルギーマネジメントシステムの構築・大規模実証
タクシー車両のEV化及び配車システムでの運用効率化に係る開発・実証
タクシー領域における電気自動車の運行管理及びエネルギーマネジメントシステム構築
路線バスEV化および交通・地域のカーボンニュートラル化を実現する運行管理/需給調整一体型エネマネシステムの開発・実証
EVバスの運行管理とエネルギーマネジメントシステムを一体化させた各種先端技術開発実証​

最新の事業戦略ビジョンをまとめてダウンロード

※事業戦略ビジョン:本プロジェクトに参画する企業等の経営者がコミットメントを示すため、事業戦略や事業計画、研究開発計画、イノベーション推進体制などの詳細を明らかにした資料。なお、大学や公的研究機関等については原則公表の対象ではない。

スマートモビリティ社会の構築2023年7月時点)

プロジェクトサマリー

  • 一部テーマにおいてシステム設計等で若干の遅延が発生しているものの、プロジェクト全体として概ね計画通り進捗している。
  • 事業進捗状況についてモニタリングする中で、KPIや標準化戦略をより具体化すべきといった意見が出ており、今後対応について確認する。

【研究開発内容①サマリー】

  • EV・FCVの導入に向けたエネルギーマネジメントと車両運行管理を最適化するシミュレーションシステムの構築を目指す。
  • 現在データ構造設計や物流・人流シミュレーションモデルの構築等を進めており、今後は開発するシミュレーション機能や将来ビジョン、ユーザの具体化に取り組んでいく。

【研究開発 内容②サマリー】

  • 商用利用されるEV・FCVの大規模導入を実現するために必要となる運輸事業者における運行管理と一体的なエネルギーマネジメント等に関する研究開発を推進中。
  • 現運行車のデータ取得や小規模電動車実証等を進めるとともに、研究開発の進捗を評価できるKPIの設定や、外部環境変化が前提条件や課題に与える影響の分析を行う。

スケジュール

1. NEDO報告資料

経済産業省産業構造審議会グリーンイノベーションプロジェクト部会ワーキンググループにおけるNEDO報告はこちら。

2023年7月最新
2023年度 NEDO報告資料

2. 各事業者報告資料(事業戦略ビジョン)

各事業者の進捗状況はこちら。
実施体制・事業戦略ビジョン